ゲームジャーナル98号レビュー|DAK the Desert IIで描くロンメルの北アフリカ戦【作戦級ウォーゲーム】

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補給が止まった瞬間、戦局は崩れる――ロンメルの決断を盤上で追体験せよ

ゲームジャーナル98号

『ゲームジャーナル98号』は、第二次世界大戦・北アフリカ戦線をテーマにした作戦級ウォーゲーム『DAK the Desert II』を付録として収録した専門誌です。ロンメル率いるドイツ・アフリカ軍団と英第8軍の機動戦と補給戦を軸に、前進か撤退かという重い決断をプレイヤーに突きつけます。プレイ時間は3~4時間、難易度は中級。再版により遊びやすさが向上し、戦史概説やデザイナーズノート、リプレイコミックが理解を強力にサポートします。北アフリカ戦を「知り、考え、盤上で再現したい」ウォーゲーマーに向けた一冊です。


 ① 『ゲームジャーナル98号』の基本情報まとめ

シミュレーションジャーナルが刊行する『ゲームジャーナル98号』は、
ボード・ウォーゲーム専門誌+付録ゲームという独自の立ち位置を持つ一冊です。
毎号1~2本の本格ウォーゲームを収録しつつ、戦史解説やリプレイ、評論記事まで網羅する構成は、
「読む・遊ぶ・考える」を同時に満たす専門誌として高い評価を受けています。

98号では、付録ゲームとして『DAK the Desert II』を収録。
プレイ人数2人、1人あたり3~4時間という腰を据えた作戦級ウォーゲームで、
誌面側も北アフリカ戦線を多角的に掘り下げる特集構成となっています。


 ② 収録ゲーム『DAK the Desert II』とは何か

『DAK the Desert II』は、旧ゲームジャーナル51号に収録された
『DAK the Desert』を改定した第二版にあたる作品です。
長らく入手困難だったタイトルが、ルールやバランスを見直した形で再収録されたことは、
ウォーゲームファンにとって大きなトピックと言えるでしょう。

テーマは第二次世界大戦・北アフリカ戦線。
ロンメル将軍率いるドイツ・アフリカ軍団(DAK)と、
イギリス第8軍との機動戦と補給戦が、作戦級スケールで描かれます。

単なる戦闘結果の再現ではなく、
「補給が続く限り進撃できるが、切れた瞬間に崩れる」
北アフリカ戦特有の不安定な戦場を、ゲームシステムとして体験できる点が最大の特徴です。


 ③ ゲームスケールと基本仕様の整理

『DAK the Desert II』は、作戦級(オペレーショナル・レベル)のウォーゲームです。
個々の小部隊戦術ではなく、軍団規模での進撃・撤退・戦線維持を扱うため、
プレイヤーには全体戦略を俯瞰する視点が求められます。

構成はマップ1枚、ユニット駒198個、ルール8ページ。
駒数は比較的多めですが、ルール自体は整理されており、
作戦級ウォーゲーム経験者であれば無理なく把握できる分量です。

プレイ時間は3~4時間と長めですが、
それに見合った「戦線が動く手応え」「決断の重み」が用意されており、
短時間ゲームでは味わえない濃密なキャンペーン体験が楽しめます。


 ④ 北アフリカ戦線の再現性|テーマ性の解説

『DAK the Desert II』が描くのは、ロンメル将軍の登場からエル・アラメインに至るまでの北アフリカ戦キャンペーン全体です。
砂漠という特殊な戦場環境、長大な補給線、限られた戦力での機動戦といった要素が、作戦級スケールで丁寧に落とし込まれています。

この戦線の特徴は、前線での勝利だけでは戦争に勝てない点にあります。
どれだけ戦術的に優位に立っても、補給が滞れば進撃は止まり、
逆に補給が維持できていれば、劣勢からでも反撃が可能になります。
本作は、そうした北アフリカ戦ならではの「不安定さ」を主題として据えています。

そのため、単なる戦闘シミュレーションではなく、
戦域全体をどう維持し、いつ勝負をかけるかという判断が常に問われる構造になっています。


 ⑤ 機動戦と補給線システムの核心

本作のゲーム性の中核をなすのが、機動戦と補給線の密接な結びつきです。
ユニットを前進させること自体は比較的容易ですが、
それを支える補給線を確保できなければ、その進撃は一瞬で破綻します。

ロンメル側は、スピードと攻勢能力に優れる一方、
補給が細く、無理な前進は自滅につながります。
対する英第8軍は、防御と補給面で安定しており、
時間を味方につけた持久戦が選択肢になります。

この非対称性が、
「どこまで押すか」「どこで止まるか」という判断を非常に重くし、
プレイヤーにロンメル的決断を疑似体験させる設計になっています。


 ⑥ プレイ感と意思決定の重さ

『DAK the Desert II』のプレイ感は、派手な展開よりも緊張感の持続に重きを置いています。
1ターンごとの変化は決して大きくありませんが、
数ターン後にその判断が致命的な差となって表れることが少なくありません。

特に印象的なのは、
「今は有利に見えるが、本当にこの攻勢を続けていいのか?」
という問いが常にプレイヤーに突きつけられる点です。
前進か、整理か、撤退か──
どの選択にも明確な正解はなく、結果は数時間後に判明します。

3~4時間というプレイ時間は決して短くありませんが、
その分、作戦級ウォーゲームならではの決断の重さと、
戦線を動かしている実感をしっかり味わえる構成になっています。


 ⑦ 旧版『DAK the Desert』からの主な改定点

『DAK the Desert II』は、旧ゲームジャーナル51号に収録された初版をベースにした改定第二版です。
単なる再録ではなく、プレイバランスや運用面を中心に見直しが加えられ、
現代的なプレイ感に調整されています。

特に注目すべきは、機動と補給に関わる処理の整理です。
初版では状況判断が煩雑になりやすかった部分が、
ルールの明確化によってスムーズに進行できるようになっています。
これにより、ゲームの本質である「いつ押し、いつ引くか」という判断に、
より集中できるようになりました。

初版経験者にとっては、
「懐かしさを保ちつつ、遊びやすくなった」再設計と言えるでしょう。


 ⑧ 初心者には難しい?難易度3の実態

本作の難易度表記は「3」。
これは、ウォーゲーム全体の中では中級寄りの位置づけです。
ルール量自体は8ページと比較的コンパクトですが、
作戦級ならではの全体把握力が求められます。

そのため、ウォーゲーム完全初心者がいきなり遊ぶには、
ややハードルが高いのも事実です。
一方で、戦術級や入門級ウォーゲームを数本遊んだ経験があれば、
十分に挑戦可能な難度に収まっています。

誌面に掲載されているプレーヤーズノートやリプレイ記事を併用すれば、
初プレイ時の迷いも大きく減り、
「作戦級へのステップアップ教材」としても有効な一作です。


 ⑨ 特集記事①|総覧&デザイナーズノートの価値

ゲームジャーナル98号の特集記事の中でも、
特に価値が高いのが「総覧&デザイナーズノート」です。
ここでは、『DAK the Desert II』がどのような思想で設計されたのか、
北アフリカ戦のどの要素を重視しているのかが、明確に語られています。

機動戦と補給線の再現において、
どこを抽象化し、どこを残したのかを知ることで、
プレイヤーはルールの“意味”を理解しやすくなります。

単なる読み物にとどまらず、
プレイ前に読めば理解が深まり、プレイ後に読めば納得感が増す
本誌ならではの、ゲーム体験を拡張する重要なコンテンツと言えるでしょう。


 ⑩ 特集記事②|戦史・部隊列伝の読み応え

ゲームジャーナル98号では、付録ゲームに連動する形で北アフリカ戦役の戦史概説登場部隊列伝が丁寧に収録されています。
ロンメルの戦略思想や、英第8軍の編制・運用の変遷が整理されており、史実を知らない読者でも背景を把握しやすい構成です。

特に部隊列伝は、ゲーム中のユニット性能を理解するうえで有効です。
「なぜこの部隊は機動力が高いのか」「なぜこの局面で脆いのか」といった疑問が、
史実解説を通じて腑に落ちる作りになっています。

戦史読み物としても完成度が高く、
ゲームを遊ばずとも読み物として価値がある点は、本誌の大きな魅力です。


 ⑪ プレーヤーズノート&リプレイコミックの役割

ウォーゲーム専門誌ならではの強みが、プレーヤーズノートリプレイコミックの存在です。
特に初プレイ時は、ルールだけを読んでも「どの判断が重要なのか」が見えにくいものですが、
実際のプレイ例を見ることで、思考の流れを追体験できます。

松田大秀氏によるリプレイコミックは、
堅くなりがちな作戦級ゲームの流れを視覚的に整理し、
「この判断が、後でこう響く」という因果関係を分かりやすく示してくれます。

結果として、
読む→理解する→遊ぶという導線が非常にスムーズで、
作戦級ウォーゲームに不慣れなプレイヤーの助走としても優秀です。


 ⑫ その他連載・記事群の専門性評価

98号には付録ゲーム特集以外にも、
戦史・評論・海外ウォーゲーム事情など、専門性の高い連載記事が多数収録されています。
「絶版ゲーム再生Project」や「ASLの戦場」などは、
長年のウォーゲーマーにとって読み応えのある内容です。

これらの記事群は、単なる付録の“おまけ”ではなく、
ウォーゲーム文化そのものを記録・継承する役割を担っています。
ゲームを遊ぶ時間が取れない時期でも、
誌面を読むことで知的満足感が得られる点は、本誌ならではの価値と言えるでしょう。


 ⑬ どんな読者におすすめか

『ゲームジャーナル98号 DAK the Desert II』は、作戦級ウォーゲームを「遊び、読み、理解したい」層に特に向いています。

具体的には、以下のような読者に強くおすすめできます。

  • 北アフリカ戦線やロンメル戦役に関心がある戦史ファン

  • 戦術級から作戦級へステップアップしたいウォーゲーマー

  • 付録ゲームだけでなく、設計思想や史実解説も重視したい人

  • デジタルSLGでは得られない、盤上での補給・戦線管理を味わいたい層

一方で、短時間で終わるライトゲームを求める人や、

完全初心者が最初に触れる1本としてはやや重めです。

「腰を据えて考える戦争」を楽しめるかどうかが、評価の分かれ目になります。


 ⑭ 総合評価|ゲームジャーナル98号は買いか?

結論として、北アフリカ戦×作戦級ウォーゲームに興味があるなら「買い」です。

『DAK the Desert II』は、機動戦と補給線というテーマを一貫して描き切った堅実な設計で、

再版により遊びやすさも向上しています。

加えて、戦史概説・デザイナーズノート・リプレイコミックといった誌面コンテンツが、

単なる付録以上の価値を生み出しています。

ゲーム単体ではなく、「理解を含めた体験」として完成している点が、本号最大の強みです。

作戦級ウォーゲームをじっくり味わいたい人にとって、

本誌は今後も参照され続ける一冊になるでしょう。

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